国内のコイン洗車場ビジネスの成り立ちから今までの流れを知ればこそ「これから」を考えることができます。
長きにわたり日本のコイン洗車場とともに歩んできたアベテックならではの視点でコイン洗車場の歴史を振り返ります。
1. コイン洗車場の誕生と急速な広がり
日本におけるコイン洗車は70年代早々にガソリンスタンド内のサービスの一環として生まれました。
1981年には北海道旭川市でガソリンスタンドの裏手に店舗から完全に分離した日本初となる独立したコイン洗車場が誕生し、現代につながるコイン洗車場の形が出来上がっていきます。
その後、日本国内の景気上昇によるマイカーへの関心の高まりとともにコイン洗車場の数も加速度的に増え、1987年には全国でおよそ1500ヶ所(自社調べ)を数えるようになりました。
また、電電公社(現NTT)が民営化するにあたり電柱などの資材置き場の有効活用策として全国各地でコイン洗車場を開業させたことも遊休地利用の成功例として注目されるきっかけのひとつになりました。
2. コイン洗車場が迎える冬の時代
その後もコイン洗車場数は順調に増加し1989年には全国で3000ヶ所(自社調べ)を超え最盛期を迎えますが、90年代に入るとバブル経済の崩壊に端を発した長い不況による個人消費の落ち込みがコイン洗車場の売上にも暗い影を落とします。
さらにコイン洗車場の乱立によるユーザーの取り合いや、セルフ式ガソリンスタンドのドライブスルー洗車の広まりが大きく影響したこともあり、10年代になるとコイン洗車場は全盛期の1/3以下となる800ヶ所(自社調べ)ほどにまで減ってしまいます。
3. 再びの追い風
閉鎖せずに頑張っていた洗車場も老朽が進みユーザーの洗車場離れは加速するかと思われましたが、2010年代に入るとコイン洗車場の売上は再び上昇に転じ各地のコイン洗車場にも活気が戻ってきました。
その理由として考えられるのは
①コイン洗車場の使い勝手の良さがあらためて見直された
②新車購入時のコーティング施工率の上昇で洗車への意識が高まった
③ドレスアップが下火になり洗車にお金をかけられるようになった
④ガソリンスタンドの洗車が値上がりした、などがあります。
近年は旧来のコイン洗車場がオーナーの高齢化とともに閉鎖するのと入れ替わるように新規のコイン洗車場の開業も増え始めています。
4. コイン洗車場のこれから
2020年代は1990年前後に開業したコイン洗車場の半数以上がオーナーの高齢化などで廃業することが予想されています。
また、電気自動車への切替が急速に進むなかガソリンスタンドの減少にも拍車がかかることも既定路線となっており、このままだとユーザーが洗車する場所もどんどん減っていくことになってしまいます。
そのような状況下、愛車を心ゆくまで洗うことができるコイン洗車場へのユーザーの流入は年を追うごとに増えると予想され、コイン洗車場の経営は安定した収益をもたらす手堅いビジネスモデルとしてさらなる発展飛躍をとげるものと考えられています。